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ー 河野 未彩 ー インタビュー 「NOT A GALLERY BUT A SYNERGY」

アートディレクション、プロダクト、グラフィックデザイン、そして空間演出と枠を超えたアーティストの河野未彩さん。熱海にある「NOT A GALLERY」にて展示作品を前に、独創的な河野さんのインタビューをお届けします。このインタビューでは、プロセス、インスピレーションの源泉、そして重要なメッセージ性について掘り下げます。作品の奥深くにある考えや情熱を垣間見ることができるかもしれません。

宇宙で起きてる現象と人間の心の中で起きてる現象に共通点を感じて

ーーまず最初にアーティストとしての経歴やアートに対する興味の起源についてお尋ねします。なぜ、河野さんはアートを追求しようと思ったのでしょうか?

はい、どこを起点に話すかですが、中学生くらいでしょうか、多分成長の過程で脳が覚醒しているときに宇宙で起きている現象や人間の心の中で起きている現象だったり、ミクロマクロ問わずに、いろいろな世界で起きている現象に共通項があるなって何となく直感で思って、そこから表現やアートに興味がでました。そのころきっと宇宙に影響されていたんでしょうね。

自分の興味と外の世界を繋げようと、好きな音楽を波動で捉えたときに、自分に与える影響とか社会とか、時代に与える影響みたいなものがあるなって。いろいろなカルチャーをみて刺激を受けながら自分の生活する環境の中で、面白そうなところがあったら自分もそこに飛び込んで、なにか自分ができることをしたいなっていう感じで気づいたら活動をはじめていました。

ーー因みに音楽はなにを聞かれていたのでしょうか?

中学生の頃のことですがビートルズが好きでした。あとインド音楽とかも。

ーーシタールを使ったアルバムもありましたね。

はい、ビートルズがインド音楽にハマった時期がありましたよね。そういうところからの繋がりでインド音楽を聴いたりして、遠くに持っていかれるような感覚を覚えたのが大きかったです。それからダンスをやっていた高校生の頃にテクノやハウスなどのダンスミュージックを知り、実際にインドに行って電子音楽を聴いた時に脳内にみえた映像を作ってみたいとう気持ちが沸きました。

左下:UP or DOWN_02  右下:INFORMATION MIXER_001

質感の使い分けを意識|光とのマリアージュで素材をセレクト

ーー現在の創作プロセスについてお聞きしたいのですが、作品を制作するために使用する画材などがあれば教えてください。

わたしの場合、グラフィックベースで創作をしているので、まずはパソコンを使って絵の中で世界観をつくっていきます。その世界観の中で質感の使い分けを意識して物理的な作品に落とし込むときに、実際の素材がみえてきます。アクリルに関しても屈折したり光を拡散させたりすることもできるし、逆にザラザラの質感を出したいときなどはコンクリートを選んだりもします。手触りと光が面白いものを選ぶことが多いです。

ーーまさに展示されている「INFOMATION MIXER」などはそれですよね?

はい、近年はよく使用しているレンチキュラーは、かまぼこ状の細いレンズが縦に入っていて見る角度で絵が変わる素材なのですが、それも光の屈折を利用したもので、そういった視覚的効果が面白い素材に興味があります。見る角度によって変化するものは自分の表現と相性が良い気がします。

FLOATING PLATE
「←左右→」デジャヴ

ーーいま制作されている場所はどちらになりますか?

東京にアトリエがあり、デスクワークやフィジカルな制作もできる場所になっています。大きな作品を作る場合は、その都度場所を借りたりして作ってるので、今後は大きな作品を作れる場所を探してます!

自然に対する畏敬の念|無機質を使って有機物を表現する

ーー作品をつくることでもっとも大切にしていることはどんなことでしょうか?

みたことのない世界をみたい。=パッと見で何かしらのインパクトがあることを大事にしています。今回の展示作品では無機物であったり人工物を多用しているのですが、それは根底に自然に対する畏敬の念があるというか、自然を観察するといろんなことが起こっていて、人間がつくり出せないことがたくさんあると思うのですが、それに対して意識的あるいは無意識的に追求したり、解明されていない現象を単純化して可視化したり、人工物でスケッチしたり図形化しているような感覚です。

ーー制作で苦労するところはどんなところでしょうか?

構想段階では、自分が何を表現したいのか明確でないことが多々あって、それを深堀してテーマを見つけるまでは大変です。それから、実際の頭で構想していることからマテリアルに落としこんだとき、重力であったりホコリであったり、反射であったり、予期しないことが起こります。そのようなコントロールしきれない部分に苦労する反面、面白いと思ってます。

ーー創作のインスピレーションはどのように得てるのですか?

瞑想とか、睡眠とか、旅行が好きなんですけど、無になったときにアイディアが浮かんでくることが多いのですが、それって潜在意識から何かをピックアップしているので、普段からアイディアの源になることに触れるよう意識しています。空想の中から突発的にくるものもあれば、現実のマテリアルから着想することもあります。

ーーアート作品に込められたメッセージはありますか?

作品それぞれがたくさんの視点や意図でできているので一概にはまとめられないですが、世界観や現象を通じて新しい視点をもたらしたり、人間や自然、地球、宇宙の美しさや面白さを表したいです。

ーー現在、主な作品発表の場は何処になりますか?

そうですね、昨今だとオンラインでは、Instagramやホームページだったりしますが、最近は大事なことほど言いたくないみたいな感覚もあり、楽しい時間ほどシェアすることを忘れたりします。マンツーマンであうのが一番いいのかと思います(笑)

ーー奥が深いです(笑)

SIMU-CIRCLE
「←左右→」融合

ーーいま尊敬しているアーティストや影響受けたアーティストがいたら教えてください。

ミステリーサークルを作ったダグ・バウワーとデイブ・チョリーさん、横尾忠則さんも大好きです。あとはダリルアンカさんというバシャールといわれる宇宙意識をチャネリングする人やリサ・ランドールさんなど理論物理学者など。結構思想からヒントを得たりすることが多いですね。

ーー結構思想的なところから刺激を受けていらっしゃるのですね。

思想ベースでモノを作っているのかもしれません。アーティストのモノに影響されるより、思想や質感で面白いと思えるものだったり、別次元のことを作品で表現したいです。

ーーアーティストになってからこれまでに変化はありましたか?

作品がきっかえけで様々な方に出会えたり、体験や発見をさせていただけることは喜びです。

ーー成長を感じる瞬間ってありますか?

日々、皆さんいろいろな問題を抱えてるじゃないですか、でもそれを乗り越えたとき、問題だったことが問題でなくなったと思える瞬間がそれかと思います。捉え方がかわったり、作れなかったものが作れるようになったりもそうです。

ーー将来の目標や展望があれば教えてください。

この人といると元気が貰えるねとか、この人といると楽しいねみたいなことって、アーティストに限らず素晴らしいなって思っていて、当たり前のことですが最近それを身に染みて感じるので、そういう人になれたらいいなって思います。
アートを介して言葉にできないことを可視化し続けられたらいいです。

ーー作品を通じて社会や文化に与える影響や変化はありますか?

わたしの作品はあまり直接的な社会的メッセージはありませんが、ただ、作品に触れたときに「!」や「?」が浮かんで何かのトリガーになってくれたら良いなと思っています。

ーーアーティストにとって、アートの意義や価値について教えてください。

言葉にならない考えだったり思い、見落とされていることなどに向き合って可視化することで、視点を変革する作用をもたらして誰かを豊かにできること、でしょうか。

ーー最後に河野さんにとってアートとはなんでしょうか?

自分の片割れでもあるし過去でもあるし、未来でもあるみたいな感じです。

ーー素敵なお話ありがとうございました。

河野未彩
視覚ディレクター/グラフィックアーティスト
多摩美術大学プロダクトデザイン専攻卒業
音楽や美術に漂う宇宙観に強く惹かれ、2000年代半ばから創作活動を始める。
アートディレクション・グラフィックデザイン・映像・プロダクト・空間演出など幅広い表現メディアを使用し、女性像や、現象に着目した色彩快楽的な作品を多数手がける。
HARUKAITO by lsland や CALM AND PUNK GALLERY での個展や、ラフォーレミュージアム原宿、ATAMI ART GRANT など国内外で多数の個展/展覧会に出店。
作品集「GASBOOK 34 MIDORI KAWANO」をGAS AS INTERFACE より刊行。
影が彩る証明「RGB_Light」を開発、日米特許取得から製品化まで実現。
md-k.net

インタビュアー:編集部@Mori

ACAO SPA & RESORT、「ATAMI ART GRANT 2023」を⽀援

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