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ATAMI ART GRANT 2023 特別企画 『デジタルアートと地方創生の接点について』トークショー レポート 施井泰平✖︎吉田山×冠那菜奈

インターネット、ブロックチェーンをテーマに活動する美術家 施井泰平さん。今回はATAMI ART GRANT 2023 特別企画として、施井泰平さんをゲストにお迎えし、『デジタルアートと地方創生の接点について』をテーマに、トークショーを行いました。トークショーではNFTの可能性や、アートで地方創生は可能なのか?など、アート業界の今後のトレンドになり得るお話を伺うことができました。

・トークショーのフルバージョンは、以下よりご覧いただけます。

https://www.instagram.com/reel/CypuJ5AScqE/

・「ATAMI ART GRANT 2023」チケットは以下より購入可能です。

https://aag2023.peatix.com

▲ 施井泰平

美術家、起業家。2001年、多摩美術大学卒業後「インターネットの時代のアート」をテーマに美術制作を開始。現在世界中のNFT取引で標準化されている還元金の仕組みを2006年に日米で特許取得するなど、業界トレンドの先手を打っている。2014年、東京大学大学院在学中にスタートバーン株式会社を起業し、アート作品の信頼性担保と価値継承を支えるインフラを提供。作家として、個展やグループ展の実施をはじめ、「富士山展」(2017〜2020)、「SIZELESS TWIN」(2022)、「ムーンアートナイト下北沢」(2022)などの展示を企画。主な著書に平凡社新書『新しいアートのかたち NFTアートは何を変えるか』などがある。

―――誰もが気軽にN F T技術を活用できる『FUN FAN NFT』

撮影:鈴木竜一朗

コロナ禍で巻き起こったNFTバブルについて、これは世界中のアート関係者、そしてアート関係者以外も家に滞在するしかなくなったことによって盛り上がったムーブメントでした。                      
コロナ禍が開けて人々が自由に行動できるようになった今、外に出ることによって得られる楽しい体験を与えて現場に人を戻していきたいといった思いで2022年9月9日にリリースしたのが、誰もが気軽にN F T技術を活用できる『FUN FAN NFT』です。

「FUN FAN NFT」トップ画面イメージ

▲FUN FAN NFTとは
アーティストやイベント主催者、店舗や施設など、様々な事業者がNFTを作成でき、来場者などのユーザーはQRコードを通じて手軽にNFTを取得できるサービス。例えば、店頭にNFTの受け取り用QRコードを印刷して設置すれば、QRコード決済サービスのように、来場者がスマホで読み取ることでNFTを獲得することも可能。

2023年9月には、ムーンアートナイト下北沢2023を実施しました。下北沢全域にアートを配置して、街を巡るようなアートフェスです。11月から熱海全域で開催される「ATAMI ART GRANT」と似ているかもしれませんね。
下北沢の線路街を中心としたいろんなところでアートを展示したり、店舗とコラボレーションしたりするのがイベントの趣旨なんですけど、単純に店舗数が多すぎると楽しみ方もわからないし、楽しみ方の抜け漏れが発生してしまいます。

▲ムーンアートナイト下北沢とは
「月」をテーマに、下北沢駅周辺の施設・店舗が一体となって盛り上げる地域参加型の新感覚アートフェスティバル。新しい技術に触れ、秋のお月見を楽しみながら「シモキタ」の新たな魅力を発見できるイベント。

―――そこで活躍するのが、『FUN FAN NFT』というワケですね。

全部のNFT作品を集めたら何かがもらえるといったような、メタな目標を作ることで、結果的にアートフェスを楽しんでいるという仕組みを作ることができました。

―――お客様からしても、『FUN FAN NFT』であればNFTを気構えずに体験できますよね。こういった仕組みによって、これからNFT利用者のパイが増えて行き、アーティストもNFTを使ってみようと思うようになりそうだと思いました。(冠)

そうですね。ちなみにムーンアートナイト下北沢で行ったFUN FAN NFTを活用したスタンプラリーと、これまでのデジタルスタンプラリーと楽しみ方自体はほぼ一緒だと思いますが、2点だけ違いがあるんです。

1つ目は、様々なサービスに汎用可能である点です。どんなイベントでも組み込むことができるのが、『FUN FAN NFT』を活用したスタンプラリーの良さです。これまでのデジタルスタンプラリーだと、毎回、行くイベントごとにスタンプラリーのアプリが違うとかありますよね。これではせっかくアプリ内で集めたモノ(NFT)も、アプリが更新されなくなったら、終わってしまいます。しかし『FUN FAN NFT』を活用したスタンプラリーは、独自の規格でやっているように見えて、そうではないんです。だからこそ、様々なイベントに組み込むことが可能ですし、せっかく集めたモノ(NFT)が消えることはありません。

2つ目は、データが残り続けると言う点です。例えばATAMI ART GRANTが30年続いたとして、初回にもらったスタンプラリーのデータが、ずっと残り続けて行くということが起きるんですよね。

―――初回のデータが残り続けることには、どんなメリットがあるのでしょうか?

美術館で一番楽しいのは、100年の歴史とか、“時を隔てる”ときだと思います。しかしどうしてもアートフェスだと、その時々しか楽しむことができません。アートフェスにも、NFT技術を活用することで“時を隔てる”と言うアート的な楽しみ方を加えて行くこともできるようになっていくと思います。

ちなみに下北沢ムーンアートナイトについて、1回目に来てくださった方のウォレットのアドレスがわかるので、2回目を実施するときには、1回目に来てくださった方のウォレットにエアドロップで無償送信するということをやりました。

撮影:鈴木竜一朗

チケット以外も送信できるので、一回目に来た人だけに、特典を提供するとかができるわけですね。ART GRANTのファンとかで、毎回イベント来ているという人だけVIPルームに入れるとか、作品の見え方が変わるとか、そういったこともできそうですよね。

―――本題に迫っていきましょう。地方創生とデジタルアートの関連性については、どうお考えでしょうか?

地方自治体の方からよく伺うのは、地方に訪れた方々は、人気の場所にしかいかないと。大きな美術館があったり、美しい滝があったりとか、そこにしかみんな行かない。有名なところはひたすら有名になって、皆がそこにしかいかないという状況になっているのではと思います。街を活性化するためには、訪れて頂いた皆に、いろんなところに価値を見出してもらい、訪問してもらうことが必要に感じます。

だからこそATAMI ART GRANTのようなイベントがあると、これまで全然観光名所じゃなかったところに人が行くようになって、熱海自体を楽しんでもらうためのきっかけになるのではないかと思います。

アートとブロックチェーンの相性はいいし、街の活性化とアートも相性がいいと思います。見るだけでも価値があるけど、そこにもう少しだけでもエッセンスがあるともっと良いなと思います。

―――NFTをうまく活用することで、街とアートの連携が深まると思います。NFTという扉があることで、アートファン以外の人にも訪れてもらえるきっかけを作れるのでは。NFTを全部集めなきゃと思って、その場所に連れていかれるような感覚は面白いと思います。来てみたら、なんだか知らない場所に自分がいる‥。NFTによってそういう新たな場所にお客様を誘引できるようになるのは、面白いと思います。(吉田山)

撮影:鈴木竜一朗

―――今、地方ではたくさんのアートイベントが行われていますが、もっと違うイベントのあり方を考えていく必要があるなと、危機感を感じています。もっと新しいお客さんを取り込むために、我々アート業界も、フェスティバルをアップデートしていかなきゃいけないと思います。だからこそ、NFTの考え方は活かしていけると思いました。ちなみにムーンアートナイトについて、1年目と2年目で、NFT取得率だったり、参加者に変化はあったりしたのでしょうか?(冠)

撮影:鈴木竜一朗

第一回と第二回の参加人数は、ほぼ一緒ですね。まだまだ課題があって、一応三カ年計画で完成させようと思っています。屋外の月やうさぎが目立って、ワイドショーとかに取り上げられて、みんな観に来るというのはうまく循環しました。中国とドイツとタイと台湾でもバズっています。ここからはやっぱり、コアなアートを好きになる人を増やしていきたいと思っています。このための導線を作りには、これから取り組んでいきたいと思っています。

ちなみにムーンアートナイト下北沢の内容については、しっかり分析をした上であの内容になっています。まず、ダサいと思われたらダメ。ロマンチックにしないと。アートフェスというのは、20代〜40代の女性が喜ばないとダメというのが、分析の結果で出てきました。かつデート需要を抑えることが大事ですね。

でもコアなところで言うと、月をテーマにすると言うのは、現代美術の一つの手続きで作られているものを、皆が知っている“月見”という体験にうまく寄せていくことを行いました。

―――実際に1年目の下北沢ムーンアートナイト見にいったのですが、とてもうまくやっているイベントだなと思いました。ATAMI ART GRANTについても、こちらから作品の魅力を提示するだけでなく、お客さん自身にもその魅力を見つけて欲しいと思っています。用意されているまた、場所についても観光地だけではなく、自ら楽しいと思える場所を見つけに行って欲しいという想いがあります。(冠)

撮影:鈴木竜一朗

ムーンアートナイト下北沢についても、注目されるのは大変だったけど、ATAMI ART GRANTも初年度からめっちゃ注目されていますよね。尋常じゃない数のお客様に訪れていただいていると思います。しかも、ずっと続けているとこも含めて凄いと思います。今日、ATAMI ART GRANTのお話を伺った限りだと、めちゃくちゃ個人的に楽しみにしています。来年以降もいろんなところで一緒に仕掛けられたら嬉しいです。

―――地方創生、デジタルアートっていうもの。アートってそもそもの語源は「アルス(ars=技術)」っていうことを考えると、今日は次世代の話が色々ポロポロ出てきたなと、とても勉強になりました。ぜひ今後、ATAMI ART GRANTでも、テクノロジーを取り入れていきたいと思いました。(吉田山)

―――ATAMI ART GRANTも続けていくことで、熱海も変わっていくと思います。街も誰かが介入していかない限り、変わっていかないと思うからこそ、NFTを取り入れて行くことが必要なのではないかと思います。街に介入するきっかけとして、ATAMI ART GRANTに来ていただいて、熱海のいろんな側面を感じてもらえると嬉しいです。(冠)

撮影:鈴木竜一朗

・トークショーのフルバージョン映像は、以下よりご覧いただけます。

https://www.instagram.com/reel/CypuJ5AScqE/

・「ATAMI ART GRANT 2023」チケットは以下より購入可能です。

https://aag2023.peatix

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